アイス缶珈琲

アイス缶珈琲の紹介ページ。
2010年6月2日にsuzumokuがリリースした「アイス缶珈琲」の収録曲情報などを掲載しています。

アイス缶珈琲

アイス缶珈琲

アイス缶珈琲

俗に言う「応援ソング」という音楽は、この10年でガラリと変わったように思う。簡単に言えば、からに、からに、「応援」の質が変わったのだ。もちろん、それは音楽の問題だけじゃなく、時代や社会そのものが変わったからだ。情報の急速なグローバリゼーションと時間の速さは、僕らに何が正解で何がゴールかを見えなくさせたし、成功への道がなくなったおかげで、僕らは理想を追い求めるどころか、ぬるい社会をぬるく生きることすら許されなくなった。 『アイス缶珈琲』は、そんな今の時代にスッとカウンターパンチを当てるような「応援ソング」だ。大胆なカット割と少しだけズレた視点で描かれる繊細な心象風景の描写はsuzumokuの十八番とするところだが、とりわけ今回はそれがまるでショートムービーのようにドラマティックで秀逸である。そこで歌われているのは、日々の仕事に嫌気が差した人間が、仕事をサボって街に飛び出したはいいものの、時間を持て余してしまう自分にふと気付いて再び自分を奮い立たせて職場に戻るという、どんでん返しの半日のストーリー。この曲がありきたりの応援ソングと違うのは、そこだ。つまり、10年~20年前の応援ソングのようにヒロイックな出世の道を描くわけではなく、近年流行りの応援ソングのようにとと甘やかすわけでもなく、いたって平凡で、気持ちは弱いし心も揺れるような主人公に、それでもしっかりと前へ進む道を示してやり、缶珈琲の苦味と安らぎを味わわせてあげるような応援ソング。それが、実際にこの世の中を生きぬかねばならない僕らにとって何よりもリアルで説得力のある歌であることは、最早言うまでもないだろう。この曲がそうであるように、suzumokuが他の多々いるシンガーソングライター達と違うのは、今の時代にフィットした感覚を持ちつつも、いつの時代にも変わらない大事なセンスや感覚も同時に持ち合わせているからだ。最新アルバム『素晴らしい世界』で、前々作『コンセント』や前作『プロペラ』のような陰のある音楽世界からは一転、力強いストロークや軽快なアルペジオに朗らかな歌を乗せ始めたsuzumokuだが、だからといってそれが既視感のあるフォークソングにならないのは、そこにsuzumokuが切り取った時代のリアリティがあるからである。この『アイス缶珈琲』は、ひと昔前のsuzumokuのように取り立ててテクニカルなギター奏法でフォークソングの様式をぶっ壊しているわけではないし、むしろ、ブルースハープの音色やサウンドの奥でそっと彩りを添えているオルガンの和音はどこか懐かしさを覚えるほどだ。これは、一度は底を見たsuzumokuだからこそ輝かせることのできる高みであり、一度は絶望に向き合ったsuzumokuだからこそ鳴らすことのできる新しい時代のための「応援ソング」である。どうかこの曲があなたの耳に触れ、あなたの心の糧となりますように。そう願ってやまない。 (ライター寺田宏幸)

〈収録曲〉

  1. アイス缶珈琲
  2. Bonus track(LIVE音源)弾語りLIVE100305 -aim into the sun

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